印パ、衝突範囲拡大=カシミール外でも交戦



【ニューデリー時事】インド軍は9日、西部の国境地帯全域で8日夜から9日未明にかけ、パキスタン軍によるドローンなどを使った複数回の攻撃を受けたが、「効果的に撃退した」とX(旧ツイッター)に投稿した。人的・物的被害には触れていない。両国とも本音では事態の悪化を望んでいないとみられるが、自国内で「弱腰」との批判が高まりかねず、沈静化するかどうかは見通せない状況だ。

インド国防省は8日、パキスタン第2の都市ラホールを含め同国の複数地点にある防空レーダーやシステムを標的として攻撃を加えたと発表。印パ両国は砲撃の応酬が続く係争地カシミール地方にとどまらず越境攻撃の範囲を拡大している。

AFP通信はパキスタン当局者の話として、カシミール地方の同国支配地域などへの攻撃で民間人5人が死亡したと伝えた。公式発表によれば、インド側の死者はこれまで民間人16人とされている。

こうした中、ルビオ米国務長官は8日、パキスタンのシャリフ首相、インドのジャイシャンカル外相とそれぞれ電話会談。両国の直接対話を促し、緊張緩和の必要性を訴えた。

インドのミスリ外務次官は8日の記者会見で、「エスカレーションが目的ではない」としつつ、パキスタン側がさらなる軍事行動を試みれば適切に対応すると述べた。パキスタンのダール副首相兼外相はロイター通信に対し「両国の安全保障担当補佐官の間で連絡は取り合っており、軍幹部同士のホットラインも機能している」と語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕8日、インドとパキスタンの係争地カシミール地方の村サラマバードで、パキスタン軍の攻撃によって損壊した家屋の中で悲しむ女性ら(EPA時事)

2025年05月09日 21時00分


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