【ワシントン時事】トランプ米大統領は13~16日の日程でサウジアラビアやカタール、アラブ首長国連邦(UAE)を歴訪する。湾岸諸国首脳らと会談し、経済面での協力強化を図り、「トランプ外交」の成果としてアピールする見通しだ。
1月の第2次政権発足以降、初の本格外遊となる。サウジでサルマン国王、事実上の最高権力者ムハンマド皇太子と会うほか、カタールでタミム首長、UAEでムハンマド大統領らと会談。湾岸協力会議(GCC)加盟諸国との首脳会議も行われると伝えられている。
歴訪の焦点は、トランプ氏が重視する対米投資や貿易の拡大だ。湾岸諸国は経済協力強化や米国製武器の購入を通じ、米国の中東関与を続けさせる狙いとみられる。トランプ政権は2日、サウジに対し中距離空対空ミサイル(AMRAAM)など35億ドル(約5000億円)相当の武器を売却すると発表した。
また、パレスチナ自治区ガザの情勢やイランの核問題も議題に上がる見通しだ。ガザでは食料不足が深刻化しているが、米政府は事態打開に向けて取り組みを進めている。米国とイランとの核協議を巡っては、湾岸諸国が米側の姿勢を確認するとみられる。
トランプ氏は政権1期目にイスラエルとアラブ諸国の関係改善を進める「アブラハム合意」を仲介。2期目で合意を拡大し、イスラム教スンニ派の盟主を自任するサウジとイスラエルの国交正常化を実現するため、今回の訪問を足掛かりとしたい考えとされる。
レビット米大統領報道官は9日、歴訪は「米国と中東が黄金時代を目前にしていることを示すことになる」と強調した。
トランプ氏は1期目にサウジを初の外遊先に選んだ。2期目就任後、外遊は4月のイタリアに続き2度目。イタリアではフランシスコ前ローマ教皇の葬儀に出席したほか、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談したが、滞在は約14時間にとどまった。
【時事通信社】
〔写真説明〕トランプ米大統領=8日、ワシントン(AFP時事)
2025年05月11日 07時13分