小林製薬の豊田賀一社長は3日までに3月の就任後初のインタビューに応じ、紅麹(べにこうじ)配合サプリメントによる健康被害問題に関し「二度と起こさないように社内で発信し続けていく」と強調した。品質管理強化に向け、人材育成を重視した人事制度刷新を行う方針も示した。
小林製薬は昨年3月、同社製サプリの利用者が腎疾患などの症状を相次いで訴えていたと公表した。豊田氏は「お客さまや取引先に迷惑をかけた」と改めて陳謝。被害者への補償と再発防止策の徹底に引き続き注力する考えを表明した。
紅麹菌の培養中に青カビ由来の「プベルル酸」が混入した問題について、豊田氏は「製造工程で危機管理の甘さがあった」と指摘。今後、品質検査や分析にたけた人材を製造現場に重点配置し、中途採用も実施すると語った。12月に刷新予定の人事制度に関しては「スペシャリストとして昇進する人を評価する必要がある」と述べ、製造現場で専門性の高い従業員の意欲が高まるように改める方針を明らかにした。
小林製薬は、豊田氏の社長昇格のほか、大田嘉仁会長を外部から招聘(しょうへい)するなど、新たな経営体制となった。豊田氏は「社外取締役も積極的に発言している」と述べ、経営風土が徐々に変化しつつあるとの認識を示した。
【時事通信社】
〔写真説明〕インタビューに答える小林製薬の豊田賀一社長=5月30日、大阪市中央区
2025年06月04日 01時51分