衆院法務委員会は4日、選択的夫婦別姓制度を巡り、立憲民主、日本維新の会、国民民主各党がそれぞれ提出した3法案に対する質疑を行い、実質審議入りした。22日の国会会期末が迫る中、自民党は結論を急ぐべきではないとの立場。野党3党の対応も割れており、3案とも過半数の賛同を得る見通しは立っていない。
立民案は1996年の法制審議会(法相の諮問機関)答申に沿い、別姓を選択した場合、子の姓は結婚時に決めると規定。立民の黒岩宇洋氏は「兄弟姉妹の姓が異なる可能性が出ることへの懸念や不安に配慮した。より幅広い方から理解を得やすい形だ」と訴えた。
国民民主案は、結婚時に「戸籍筆頭者」を決め、子の姓を筆頭者と同じにする。国民民主の円より子氏は「立民案と民法上の効果は同じ」と認めつつ、さまざまな事情で子を持たない夫婦もいることから「子が生まれることを前提とするのは酷ではないか」と説明した。
維新案は別姓とは一線を画す。夫婦同姓の原則を維持し、通称として用いる旧姓を戸籍に明記。維新の藤田文武前幹事長は、運転免許証やパスポートなどの公的書類は旧姓のみの記載が可能だとする一方、金融機関などの民間サービスには「努力義務であるため、全ての場面で(旧姓使用)というわけにはいかないかもしれない」と語った。
4日の衆院法務委では、自民、公明両党は質問に立たなかった。別姓導入への賛否が割れる自民は法案提出を見送り、野党案への対応方針も定まっていない。衆院法務委には別姓賛成派と目される自民議員も所属しているため、党執行部は委員の差し替えも視野に入れつつ、法案採決の先延ばしを図る考えだ。
これに対し、法務委員長ポストを握る立民では、「来週しかるべき時期に3案を採決したい」(笠浩史国対委員長)との意見も出ている。法務委は6日に審議を、10日に参考人質疑を実施する。今後、採決日程を巡る与野党の攻防は激しさを増しそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕選択的夫婦別姓制度の実質審議が始まった衆院法務委員会=4日午後、国会内
2025年06月04日 20時30分