【イスタンブール時事】イランはイスラエルと米国の激しい攻撃を受けた後も、核開発継続は譲らない姿勢を示している。中枢拠点の一つである中部フォルドゥのウラン濃縮施設は「稼働不能になった」(イスラエル原子力委員会)との見方もあるが、イラン側は復旧を急ぐ方針。トランプ米大統領は25日、イランと「来週協議する予定だ」と明らかにした上で「何らかの合意」を結ぶ可能性を示唆した。ただ、折り合いがつかなければ、米とイスラエルが再び攻撃に乗り出す恐れもある。
イランは「核施設がひどく損傷した」(外務省報道官)と認めたものの、被害の詳細は明かしていない。エスラミ原子力庁長官は24日、地元メディアで「修復準備を進め、核計画が中断しないよう努める」と発言。核爆弾9発分相当の高濃縮ウランが攻撃前に保管先から運び出されたとの情報もあるが、米国は「移送は不可能だった」と主張し、この点も実態は不明だ。
イランのアラグチ外相は23日の停戦合意後も、核開発の放棄を否定している。絶対的権力を持つ最高指導者ハメネイ師が「ウラン濃縮は核計画の柱で誰の許可も待たない」と固執している以上、翻意する可能性は低い。国会は25日、核施設の安全や平和的な核活動が保証されない限り、国際原子力機関(IAEA)との協力停止を求める方針を承認した。国際社会に背を向けてでも、威信を懸けた核開発追求を貫く姿勢を見せている。
一方、トランプ氏はSNSに「イランは決して核施設を再建できない」と投稿。25日には米軍の攻撃で核開発を数十年遅らせたと強調した。「彼らは元に戻したがっているが、そうはさせない」と述べ、再空爆もあり得ると警告した。
同氏は、4月以降5回の高官協議で大きな進展がなかったイランとの交渉を来週再開すると表明。新たな核合意については「強くこだわっていない。われわれはイランの核を破壊した」と語った。イランからは交渉に関する公式の反応はない。
イスラエルでも、ネタニヤフ首相が「イランで核兵器の脅威を取り除いた」と同調。ただ、「作戦は終わっていない」(ザミール軍参謀総長)ともけん制しており、動向を引き続き注視する構えだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕(左から)イランの最高指導者ハメネイ師、トランプ米大統領、イスラエルのネタニヤフ首相(AFP時事)
2025年06月26日 20時30分