参院選(7月3日公示、20日投開票)を控え、東京都議選で議席を伸ばした参政党の動向を自民党が警戒している。「自虐史観」脱却などの参政の主張が、自民の「岩盤支持層」と目されてきた保守層と共鳴する可能性があるためだ。保守票の動向は参院での「与党過半数」の行方にも影響するとみられ、自民は「乗り換え」に神経をとがらせる。
「目標値は最低6(議席)。積極的に重点選挙区を増やしていく」。参政の神谷宗幣代表は30日の記者会見で、東京や大阪など大都市圏を中心に活動を強化する考えを示した。
先の都議選で参政は議席をゼロから3に積み上げた。報道各社の世論調査でも政党支持率は上昇傾向にあり、神谷氏は「加速度的に一気に伸びた」と手応えを口にする。
「日本人ファースト」を掲げる参政は、積極財政実現にも力を入れる。政府関係者は、こうした訴えが安倍晋三元首相による「アベノミクス」などを強く支持した保守層にとって、「受け皿になっている」と分析する。「参政の動きは心配だ」。石破茂首相(自民総裁)は最近、与党幹部にこう漏らしたという。
29日に東京都内で開かれた安倍氏をしのぶ会の後、会見した保守系議連「創生日本」事務局長の木原稔前防衛相は「自民支持率は低迷している。安倍政権が掲げた理念を見失いつつあるからではないか」と保守層離れに危機感をにじませた。
参政の動向は野党にも影響しそうだ。「参政は自民支持層に浸透し、日本維新の会や国民民主党にも届き始めている」。ある自民関係者は参政が一部野党とも競合関係にあるとの見方を示す。同時に、参政は「食の安全」や「日本特有の自然生態系の維持」なども唱えている。立憲民主党内からは「政権批判票の選択肢になり得る」(若手)との声も漏れる。
もっとも、参政が掲げる消費税減税や社会保険料見直しに伴う財源論は具体性を欠きがちだ。自民党内からは「消費税を下げろだけでは、問題は解決しない」(森山裕幹事長)などと「責任政党」の必要性を訴える声が出ている。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する参政党の神谷宗幣代表=30日、国会内
2025年07月01日 07時05分