環境省は、巨大地震や集中豪雨で被災した自治体が実施する災害ごみ対応を支援するため、専門の機関を設置する方向で検討している。多くの自治体にとっては経験したことのない業務である上、大量に発生するごみを迅速に処理する必要があるため、支援機関を通じてサポートする。省内の有識者検討会で詳細を詰め、早ければ2025年度内にも結論をまとめる。
全半壊した建物の公費解体や、災害廃棄物処理といった業務は原則として、被災した市町村が担う。ただ、初めて大災害に直面した場合、ノウハウが乏しい中でも、各種手続きや関係者との調整といった慣れない作業に当たらなければならない。そうした自治体をどのようにサポートして、速やかなごみ処理につなげるかが課題となっていた。
そこで、環境省は専門の支援機関の設置を検討。被災市町村から委託を受け、関係する業者への発注、調整、施工監理などの業務を補助したり、代行したりする想定だ。被災地のニーズを把握し、他自治体の応援職員や、民間を含めた技術者の受け入れに向けたマッチングにも取り組む。
平時には、自治体が策定する災害廃棄物処理計画や、民間企業との間で結ぶ災害協定について助言。災害に対する備えの充実を後押しする。
能登半島地震や東日本大震災の教訓を踏まえ、環境省の有識者検討会が3月にまとめた報告書では、こうした支援機関の確立が盛り込まれた。今後、法的な位置付けを含めて、在り方を探る。
【時事通信社】
〔写真説明〕環境省が入る中央合同庁舎第5号館=東京都千代田区
2025年06月29日 09時54分