横浜市で開催中の第9回アフリカ開発会議(TICAD9)は21日、2日目の討議を行った。民間主導による持続可能な成長を図るための基盤づくりや経済の多角化など、経済分野について議論。日本からは議長代理の岸田文雄前首相が出席し、影響力を強める中国を念頭に「日本企業の進出と現地産業の成長を促進する」と述べ、アフリカへの民間投資拡大を訴えた。
岸田氏は「アフリカの持続的な経済成長のためには、民間セクターの活力取り込みが今まで以上に重要だ」と指摘。国際協力機構(JICA)を通じた課題解決型の開発援助や、アフリカの新興企業と日本企業の連携強化を進める方針を説明した。
国際的な保護主義の潮流を踏まえて「世界貿易機関(WTO)を核としたルールに基づく多角的貿易体制」の重要性も強調。インド洋とアフリカを結ぶ経済圏をつくる石破茂首相の構想実現などに取り組む考えを示した。
国連のデュアルテ事務総長特別顧問は、一次産品輸出への依存などアフリカ経済の課題に触れ、「貿易・投資を日本とアフリカの間で進めることは繁栄や強靱(きょうじん)化、変革への道筋でもある」と主張した。中国の過剰融資を背景とした債務問題については「アフリカの進歩を阻む構造的な弱点だ。リスクを除去しなければならない」と述べた。
一方、首相は中央アフリカのトゥアデラ大統領をはじめ各国首脳らとの「マラソン会談」を続行。午後は企業を交えた「官民ビジネス対話」に参加した。
【時事通信社】
〔写真説明〕中央アフリカのトゥアデラ大統領(右)と握手する石破茂首相=21日午前、横浜市(代表撮影)
〔写真説明〕第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の全体会合で発言する議長代理の岸田文雄前首相=21日午前、横浜市
〔写真説明〕第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の全体会合で発言する議長代理の岸田文雄前首相(壇上前列左から4人目)=21日午前、横浜市
2025年08月21日 13時40分