銀行の政策保有株、買い取り停止へ=市場環境考慮、危機対応に区切り―政府



政府は24日、銀行の政策保有株式売却の受け皿機関「銀行等保有株式取得機構」の株式買い取り期限について、延長しない方向で最終調整に入った。現在は2026年3月末が期限だが、関連法の改正案を来年の通常国会に提出するのは見送り、買い取り業務を停止させる。現在の市場環境を踏まえた判断で、取得機構は金融危機対応の役目を事実上終えることになる。

取得機構は、銀行が保有する株式や上場投資信託(ETF)を買い取り、十分な時間をかけて市場に放出する役割を担う。持ち合い解消による株価下落を防ぐため、02年に政府主導で民間金融機関が設立した。買い取り実績は今年11月時点で累計約3兆6000億円に上る。

買い取りは06年にいったん停止したが、米リーマン・ショックに伴う株価下落で銀行の財務内容が悪化して貸し渋りが起きるのを防ぐため、09年に再開した。その後はコーポレートガバナンス(企業統治)強化の観点から政策保有株式の削減を後押しする狙いもあり、期限の延長を繰り返していた。

今年の株式市場はトランプ米政権の高関税政策で不透明感が漂っていたものの、足元では日経平均株価が5万円を超える高値で推移している。政府はこうした市場動向や近年の利用実績を考慮し、延長の見送りを決めたもようだ。銀行業界からは「(買い取りが停止しても)そこまで影響はない」との声が聞かれる。

買い取りを停止しても保有株式を処分する必要があるため、取得機構は最長で36年3月までは存続する見通し。政府内には売却益を早期に財源として活用できないか探る動きもあり、今後の焦点となりそうだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕銀行等保有株式取得機構の創立総会=2002年1月23日、東京都千代田区

2025年12月25日 08時35分


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