現役世代、負担減実感乏しく=医療・介護の改革限定的に―予算



2026年度予算案で社会保障関係費は前年度比7600億円増の39兆600億円で過去最高となった。高齢化で医療や介護の費用が増加。医療機関などに支払う診療報酬も大幅に引き上げる。一方、医療費削減に向けた制度の見直しは限定的で、現役世代は負担軽減を実感しにくい状況だ。

26年度の診療報酬改定は全体で2.22%のプラスとなった。薬の値段の「薬価」を0.87%引き下げるが、医師らの人件費に充てる「本体」部分は3.09%引き上げる。本体の改定率が3%台となるのは30年ぶり。物価高や賃上げに多くの医療機関が対応できず、関係団体が大幅引き上げを求める中、高市早苗首相の判断で決着した。

医療制度改革では、市販薬と似た「OTC類似薬」を処方された患者に27年3月から追加負担を求める。日本維新の会は類似薬を保険適用から除外することで年数千億円の医療費削減を目標に掲げたが、患者負担が急増するため断念。見直しによる削減は年約900億円の見込みだ。

医療費が高額になった場合に患者負担を抑える「高額療養費制度」の見直しでは、患者団体の声を踏まえ、自己負担上限額の上げ幅を抑制。介護保険サービスを利用する65歳以上の自己負担が2割となる人の対象拡大は結論を先送りした。

これらの改革による保険料負担の軽減額は26~28年度に計4600億円にとどまる。政府は今後、原則1~2割としている70歳以上の医療費窓口負担の見直しを検討する。高齢者の反発が予想される中、具体的な方向性を打ち出せるか、高市政権の真価が問われる。

【時事通信社】 〔写真説明〕病院の受付(写真はイメージ)

2025年12月26日 15時08分


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