
危険運転致死傷罪の適用要件見直しを検討していた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は25日、一般道路なら制限時速を50キロ超えて死傷事故を起こした場合に危険運転罪を一律に適用するなどとした自動車運転処罰法改正案の要綱案をまとめた。法務省は法制審の決定を経て、来年1月23日召集見通しの通常国会に提出し、成立を目指す。
危険運転致死傷罪の法定刑の上限は拘禁刑20年で、同7年の過失運転致死傷罪より重い。ただ、危険運転が「進行を制御することが困難な高速度」などと曖昧にしか定義されず、大幅なスピード超過でも適用されないケースが少なくないことから、遺族らが適用要件の明確化を求めている。
要綱案には採決に加わった12人の委員のうち11人が賛成した。危険運転とみなすスピードを、制限速度60キロ以下の道路(一般道路など)では「50キロ超過」、同60キロ超の道路(高速道路など)では「60キロ超過」と規定。同30キロの生活道路で車を走らせる場合、スピードを時速80キロ出せば危険運転とみなされる計算だ。
飲酒運転については(1)呼気1リットル当たりアルコール0.5ミリグラム以上(2)血液1ミリリットル当たりアルコール1.0ミリグラム以上―を危険運転とした。酒気帯び運転の基準は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム。
数値基準を下回っても柔軟に対応する余地を残すため、「重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度」「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」で死傷事故を起こした場合に危険運転罪を適用できる包括規定も設けた。
高速度運転と飲酒運転に加え、タイヤを意図的に横滑りさせる「ドリフト走行」も危険運転に含める。
【時事通信社】
〔写真説明〕危険運転罪の見直しを議論している法制審議会部会の会合=25日午前、法務省
2025年12月25日 18時09分