
衆院選で歴史的大勝を収めた高市政権の陰で、国民民主党の存在がかすみがちだ。与党が衆院議席の4分の3を占め、これまで得意としてきた「条件闘争」路線は行き詰まりつつある。売りだった積極財政などの政策も政権と重なり合う部分が多い。焦りを強める国民民主は存在感を発揮しようと躍起だが、妙案は見つかっていない。
「衆院を正常化するには(高市早苗首相の)訪米報告と集中審議が必要だ」。国民民主の古川元久国対委員長は18日、日本維新の会の遠藤敬国対委員長と国会内で会談し、こう要求した。
意識したのは野党第1党の振る舞いだ。立憲民主、公明両党の参院議員が中道改革連合への合流を見合わせたことで、衆参両院を合わせた議席数は国民民主53、中道49となった。国民民主は「われこそ野党第1党」と中道への対抗姿勢を強めており、関係者によると、会談は古川氏が打診した。
背景にあるのは存在感低下への危機感だ。与党が衆参両院で過半数割れしていた昨年の臨時国会までは「政策実現野党」(玉木雄一郎代表)をアピール。キャスチングボートを握り、「年収の壁」などを巡る要求を与党にのませてきた。
しかし、2026年度予算案の衆院採決では、「採決を遅らせれば予算案に賛成する」との条件すら、首相に一顧だにされなかった。自民幹部は「国民民主はよく約束をたがえる。信用できない」と漏らした。与党は過半数に4議席足りない参院の予算案採決に向け、国民民主の代わりにチームみらいや日本保守党に協力を呼び掛ける。
党幹部の一人は「ビジネスモデル」が崩れつつあると認める。ただ、対決路線を強めようにも、スパイ防止法制定を共に掲げるなど、国民民主と高市政権は政策面で近い。「対決より解決」をモットーに掲げてきたこともあり、党関係者は「政権との向き合い方が難しい」と漏らす。
衆院選で公示前勢力を1議席伸ばすにとどまった国民民主は「支持拡大の限界が露呈した」と総括。SNSなどでの訴えに頼らず、地方議員を大幅に増やして「地力」を付ける方針を打ち出した。ただ、中道候補に対抗馬を次々にぶつければ、共通の支持団体である連合から猛反発を浴びかねないというジレンマを抱える。
「あのときが『玉木首相』の最後のチャンスだったかもしれない」。ある野党関係者は立民が政権交代に向け玉木氏に秋波を送った昨秋を振り返り、閉塞(へいそく)感が漂う国民民主の現状をこう皮肉った。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する国民民主党の玉木雄一郎代表=17日、国会内
〔写真説明〕国対委員長会談に臨む日本維新の会の遠藤敬氏(左)と国民民主党の古川元久氏=18日、国会内
2026年03月22日 07時00分