ゼロ関税の効果検証=中国・海南島に期待と課題



関税をゼロにしたら貿易はどのくらい増えるのか。トランプ米政権と関税交渉を続ける中国が南部・海南島で実証実験を本格化させている。島内で適用する関税率の大半を0%に引き下げ、経済効果や社会への影響を検証する。現地では期待が膨らむ一方、課題を指摘する声も聞かれた。

「海南島の貿易は力強く伸びている」。国営新華社通信はゼロ関税の本格導入からほぼ3カ月となる17日に関連記事を配信し、早くも成果が表れたとアピールした。

中国政府は2018年に海南島全域を自由貿易の拠点にすると決定。昨年12月に輸入品の7割超にゼロ関税を適用し、経済特区「海南自由貿易港」の全面運用を始めた。海南省統計局によると、貿易総額は今年1~2月に前年同期比で約3割増えたという。

島北西部の※州(※ニンベンに簷の竹カンムリなし)に拠点を置く食用油メーカーの海南オスカ国際糧油は、海外事業を強化する意向だ。曹又華・副総経理は、21年以降に3億元(約70億円)の税減免を受けたと説明。ゼロ関税が新たな追い風になるとして、「先行きは非常に明るい」と話した。

政府は今月開かれた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、海南自由貿易港を「着実に整備していく」と表明。経済特区を国内各地で設置し、効果的な取り組みを全国に拡大していく方針も決定済みだ。

中国は1978年の改革開放政策開始以降、まず北京から離れた広東省や上海で市場経済を導入し、状況を見極めた上で全国へ展開。経済成長の基盤を築くことに成功した。

海南省財政庁の周正副庁長は、関税優遇の一部は「包括的および先進的な環太平洋連携協定(CPTPP)」に合わせたルールになっていると強調。中国のCPTPP入りをにらんでいることを示唆した。一方、別の経済部門の男性幹部は「うまくいかなければやめればよい。何もしないことが最大のリスクだ」と力を込めた。

ただ、米中摩擦が深刻化する中、一部の外資企業は中国に軸足を置くサプライチェーン(供給網)の見直しを加速させている。日系企業からは、日中関係悪化で「新たな対中投資はあり得ない」(大手メーカー幹部)との声も上がる。現地を視察した外国メディアの女性記者は「いま中国に必要なのは、ゼロ関税よりも対外関係の安定だ」と指摘した。(※州=中国海南島=時事)。

【時事通信社】 〔写真説明〕中国南部・海南島のコンテナ港=2月27日

2026年03月22日 07時01分


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