
高市早苗首相が2026年度補正予算案を編成する方向にかじを切った。年中行事のような補正編成との「決別」を持論とする首相は、26年度当初予算成立から間を置かない編成に慎重だったが、中東情勢の混乱の長期化を受けた編成論が与野党で強まり、方針転換せざるを得なくなった。
「連休前には事務方に、先週には片山さつき財務相に(補正編成を)指示した」。首相は18日の政府・与党連絡会議でこう語った。補正編成は5月の連休前からの既定路線で、自身が後手に回ったわけではないとアピールした形だ。
ただ、首相は1週間前の11日の参院決算委員会で「補正編成が直ちに必要な状況とは考えていない」と明言していた。2月の施政方針演説で「毎年補正予算が組まれるのを前提とした予算編成と決別する」と大風呂敷を広げた経緯があり、自民関係者は「首相は持論に固執した」と証言する。
補正予算案が国会に提出されれば、衆参両院の予算委員会に出席して野党の追及に応じざるを得なくなるため、編成を渋ったとの見方もある。
しかし、原油価格が高止まりする中、ガソリン代補助金の原資が来月にも底を突く見通しとなり、与党内で「補正なしでは持たない」(自民幹部)との声が拡大。野党各党も「3兆円程度の補正予算を」(国民民主党の玉木雄一郎代表)などと要求を強め、首相は抗しきれなくなった。
20日には今国会初の党首討論を控える。首相が18日に表明した背景には「野党に追い込まれた形は避けたい」(政府関係者)との判断があったとみられる。
関係者によると、首相は自身の予算委出席を「衆参でそれぞれ半日ずつ」で済ませるよう既に自民幹部に伝えた。ただ、補正編成の方針をぎりぎりまで明かさなかった首相への不信感も党内にはあり、首相の思惑通りに進むかは見通せない。
首相は今回、経済対策取りまとめを指示しておらず、補正予算は予備費の積み増しが柱になるとの見方が強い。首相は最小限の補正予算にとどめることでメンツを保ちたい考えとみられるが、自民内からは「秋の臨時国会で本格的な第2次補正予算の編成もあり得る」(幹部)との声が早くも出ている。
【時事通信社】
〔写真説明〕政府・与党連絡会議で発言する高市早苗首相(右手前から3人目)=18日午後、首相官邸
2026年05月19日 07時07分