周囲を海に囲まれる日本の再生可能エネルギー拡大の「切り札」と期待される洋上風力に対し、世界的なインフレによる建設コストの高騰という逆風がやまない。山形県遊佐町沖の事業者に選定された企業連合からは、英石油大手BPが離脱を検討。他海域でも撤退ドミノの動きが広がらないか、協業会社には疑心暗鬼の目が向けられる。経済産業省は事業者への支援を拡大し、引き留めを図る。
洋上風力事業は巨額の投資や高度な技術を要するため、商社や電力会社などが企業連合を組んで開発している。国は「促進区域」に指定した海域で、事業者の入札を実施。山形県遊佐町沖は2024年12月に、丸紅や関西電力、BP、東京ガスなどの企業連合が落札していた。
ただ、コスト増など事業環境が厳しさを増す中、BPは参画を続けるのは難しいと判断したもようだ。BPが抜けても、丸紅など残る企業で事業は継続する。
「うちの企業連合から抜ける社はいないだろうか」。BPの撤退方針が明らかになって以降、他海域の開発に参画する事業者は、企業連合からの脱退の動きを警戒する。
政府は昨年2月に閣議決定したエネルギー基本計画で、電源構成に占める風力発電の割合を40年度に4~8%程度(23年度は1.1%)に高める方針を打ち出した。しかし、三菱商事を中心とした連合は同年8月、コスト増を理由に、千葉、秋田両県沖の3海域からの事業撤退を表明。政府の公募第1弾で選ばれた象徴的な案件だっただけに、衝撃は大きかった。
このため、経産省は洋上風力への資金支援を強化する。脱炭素電源に投資する事業者に20年間、一定の収入を保証する「長期脱炭素電源オークション」に、国がすでに公募した洋上風力の事業者も参加できるようにする。収入保証の上限額も引き上げる。ただ、ある事業者は「(支援が強化されても)採算には余裕はない」と漏らす。
【時事通信社】
2026年07月29日 07時08分
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