米、中国のAI高度化警戒=ムーンショット「Kimi」開発で



【ワシントン、北京時事】米中のハイテク分野の覇権争いが激化する中、トランプ米政権が中国製AI(人工知能)の高度化に警戒感を強めている。中国新興企業「月之暗面」(ムーンショットAI)が17日に発表した最新モデル「Kimi

K3」が米国製の最先端AIに性能面で肉薄したと受け取られたためだ。米政権は対抗策を辞さない構えで、新たな火種となっている。

最新モデルは、性能の指標となるパラメーター数が2兆8000億ある。中国で最も性能が高いとされてきたディープシーク(深度求索)の最新モデル「V4」を上回る。技術を公開する「オープンソース」型のAIモデルとしても過去最高レベルといわれる。

ところが、米政権などからは、ムーンショットAIが最新モデル開発で米アンソロピック製AIを不正利用したと疑う声が浮上。高官は22日、「米国の独自技術を盗み、研究活動を弱体化させる目的の大規模で秘密裏な『蒸留』は容認できない」と名指しで非難した。

蒸留とは、高性能のモデルから知識を学び取る手法。AI高度化の効率が格段に高まり、コスト削減も可能だ。ベセント財務長官は「米企業から技術を盗んだ事実が確認されれば、制裁が選択肢となる」とけん制する。

中国では、米国による制裁の警告を「中国AI高度化への焦り」とみる論調が広がり始めた。中国当局も国産技術の流出に警戒を強めており、中国企業が開発した最先端AIに対する海外からのアクセス制限を検討していると報じられた。

AIを巡る応酬が激しさを増す中、米中は「競争と対話」の新たな局面に入ろうとしている。両国はAIに関する対話を9月に開く方向で調整に入った。習近平中国国家主席の訪米前に開催される可能性が高く、実現すればトランプ政権下で初の公式なAI対話となる。

ただ、AIを「誰にでも開放すべき技術」とみる中国と、「安全保障上の戦略資産」と位置付ける米国の溝は深い。米政権は、民間技術を軍事転用する中国の「軍民融合」を警戒し、対中輸出規制を強めてきた。新たな対話が技術覇権を争う両国の関係安定化につながるかは不透明だ。

【時事通信社】 〔写真説明〕中国最大級の技術展示会「世界人工知能(AI)大会」に出展した同国AI新興「月之暗面」(ムーンショットAI)のブース=17日、上海(AFP時事)

2026年07月24日 07時22分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース