
小惑星「りゅうぐう」からの試料を地球に持ち帰った後、別の小惑星に向かう拡張ミッションを継続中の探査機「はやぶさ2」で、航行に使う4基のイオンエンジンのうち唯一正常に動いていた1基が故障したことが1日、分かった。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、初代「はやぶさ」でも行った、故障したイオンエンジン2基の使用可能な部分を組み合わせる「クロス運転」と呼ばれる手法でミッションを継続する方針。今月後半にも同エンジンの運用を再開するが、2031年に最終目的地の小惑星「1998
KY26」に到着できるかは今後の劣化の進展にもよるため、現時点では不明という。
はやぶさ2は打ち上げから12年近くが経過し、設計寿命を大幅に超過。さまざまな機器に故障や劣化が生じている。
JAXAによると、4基あるイオンエンジンのうちA、C、Dの劣化が進み、拡張ミッションではりゅうぐうへの往復時に温存していたBを主に使っていたが、8月中旬に不具合が発生。復旧を試みたが、動作しなくなった。
イオンエンジンは「イオン源」と「中和器」から成り、航行には両者が同時に動くことが必要。詳しく調べたところ、Bはイオン源が故障していたものの、中和器は動作可能だった。一方、CとDは中和器が故障し、イオン源は機能することが判明。そこで回路を切り替えて、Dのイオン源とBの中和器を組み合わせることにした。
この手法は初代はやぶさでも使われ、地球に帰還できなくなる危機を救った。当時の担当者で、はやぶさ2の責任者も務めた国中均・JAXA名誉教授が仕様外で追加した「裏技」だったが、はやぶさ2は当初から利用できる仕様にしていた。
JAXAの三桝裕也・はやぶさ2拡張ミッションチーム長は「限界を超えて運転を続けるイオンエンジンと共に、チーム一同、最後まであきらめずに運用を続ける」とコメントした。
【時事通信社】
〔写真説明〕4基あるイオンエンジンで航行する「はやぶさ2」の想像図(JAXA提供)
2026年10月01日 14時33分