「高市1強」の弱点露呈=更迭の判断材料、首相に届かず



政権発足後、初めての閣僚更迭は「高市1強」の弱点を露呈した。簗和生前農林水産相の無料バス疑惑や、参院での問責決議案可決の可能性など、更迭の判断に直結する情報が高市早苗首相には届いていなかった。重要な案件を一人で抱え込む首相の性質もあり、危機管理能力の不足は政権の行く末に影を落としそうだ。

「首相に権限が集中し、周囲が何も言えない」。自民党幹部は政権の現状について、こう指摘した。

首相は簗氏について、7~9日の衆参代表質問では「働いて仕事で返せ」などと続投を指示したと表明。だが、13日の衆院予算委員会で、簗氏陣営が衆院選で支持者を無料バスで運んだ公職選挙法違反疑惑が焦点になると、「きょうバスの話が出た。違法性があれば(進退判断を)ちゅうちょしない」と姿勢を180度転換させた。

デイリー新潮や文春オンラインは9月末に簗氏の「予算カット」発言を報道。今月7日にバス疑惑を報じた。政府高官は13日の予算委後、「首相は週刊誌を読んでいないそうだ」と説明。「私は読んだが、いちいち報告していたらきりがない」と首相には伝えなかったと明かした。首相は公選法違反の可能性を把握しないまま、一度は続投を判断したことになる。

また、自民関係者は「問責決議案が出れば可決されそうだということをつかみきれなかった」と証言する。与党は参院で過半数を割り込んでおり、野党が結束すれば可決に近づく。野党と太いパイプを持つ実力者の石井準一氏が、先の人事で参院幹事長を外れたのは首相の意向と見る向きが多い。

政権の危機管理は首相の命運を左右しかねない。安倍政権では主に菅義偉官房長官が担当。萩生田光一官房副長官や今井尚哉首相秘書官と共に政府内と与野党に目を光らせ、機微な情報は安倍晋三首相に伝えていたとされる。失言した閣僚を数時間後には更迭したこともあった。高市首相は木原稔官房長官を重用しているが、安倍、菅両氏ほどの結び付きはない。

自民内では、簗氏更迭で「首相の党内基盤が直ちに崩れることはない」(関係者)との見方が多い。ただ、閣僚経験者は順調だった政権の「逆回転が始まったかもしれない」と述べ、「このような事態が続けば来年秋の党総裁選はどうなるか」と漏らした。

【時事通信社】 〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=16日、東京・永田町

2026年10月18日 07時01分


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