投資会社SBG、剣が峰に=孫氏、「家康」引き合いに反省の弁



ソフトバンクグループ(SBG)が2022年4~6月期連結決算で、国内上場企業として過去最大の赤字を計上した。2四半期連続の大幅赤字で、一時は7兆円を超えた「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の累計投資利益も吹き飛んだ。業績悪化の主因となっている世界的な株安の回復は見通せず、投資会社SBGは剣が峰に立たされている。

「大きな利益を出したときに有頂天になる自分がいたことが恥ずかしい」。東京都内で8日に開かれたSBGの決算説明会。いつもは強気の孫正義会長兼社長は、「三方ケ原の戦い」で武田信玄に敗れた徳川家康が慢心の戒めに描かせたとされる「しかみ像」を引き合いに、反省の弁を繰り返した。

SBGは17年、世界中のベンチャー企業などに投資する10兆円規模のSVFの運用を開始。投資会社化にかじを切った。

しかし、世界的なインフレを背景とする米国の急速な利上げと景気後退懸念から株安が進むと、SVFが投資する企業の価値も下落。SVFの今年6月末の累計投資利益は1122億円にまで縮小した。

孫氏は今後、コストダウンに向けて聖域のない人員削減に踏み込む見通し。しかし、育成してきた人材やノウハウが流出すれば、投資会社としての競争力が低下する懸念がある。

ロシアによるウクライナ侵攻や収束しないコロナ禍など、世界経済をめぐる環境は不透明感を増している。孫氏は「冬の時代が少し長く続くだろう」と投資環境の厳しさをにじませた。

【時事通信社】 〔写真説明〕決算説明会に臨むソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長。背景は、徳川家康が描かせたとされる「しかみ像」=8日午後、東京都港区

2022年08月08日 22時04分


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