改正自治法に一定の理解=「指示は最小限」求める声も―各自治体首長



大規模災害や感染症の流行などの非常時に国が自治体に必要な指示ができる仕組みを創設する改正地方自治法が19日、成立した。各地の首長からは「既存の法案では迅速に対応できない」(新潟県の花角英世知事)と一定の理解を示す声が上がった。その一方、「地方自治の本旨を考え、必要最小限の行使にとどめてほしい」(鳥取県の平井伸治知事)と、国に丁寧な運用を求める意見も目立った。

改正法では、国による指示権の行使は特例とし、指示する際には閣議決定を義務付けた。事前に自治体から意見を聞き取ることも努力義務とした。

愛知県岡崎市の中根康浩市長は同日の記者会見で、「非常事態に国が調整役を担う場面があるかもしれないという意味では容認したい」と述べた。大阪市の横山英幸市長は「自治体一つでは対応できない状況で、広範囲な意思決定ができるとしたら国しかない」との考えを示した。

全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)はコメントを発表し、指示権行使に当たり自治体との十分な事前協議を求める付帯決議が採択されたことを評価。決議を踏まえ、「地方自治の本旨に反し安易に行使されることがないよう、制度運用することを強く求める」と注文を付けた。

一方、衆院での審議過程では、国による指示の内容について国会への事後報告を義務付ける修正が加わったが、秋田県の佐竹敬久知事は「事後では意味がない」と批判した。

今後の運用に当たっては、国と地方は対等とする地方分権の原則が維持されることが重要だとの訴えが相次いだ。島根県の丸山達也知事はコメントを発表し、国が実際に指示権を行使した際、「指示内容に問題があれば、実情に即して柔軟に見直すよう求める」と、くぎを刺した。

【時事通信社】 〔写真説明〕全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)

2024年06月20日 08時32分


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