1人区、振れ幅大きく=勝敗を左右、与野党注力【25参院選】



参院選(20日投開票)は改選数1の1人区(計32)が全体の勝敗を左右する。与野党が1議席を奪い合い、世論の動向が反映されやすいためだ。過去の参院選でも大きな振れ幅を見せており、自民党や立憲民主党などは今回も総力戦を展開する。(肩書、党名は当時)

石破茂首相(自民総裁)は4日、1人区の福島県に入り、白河市で「何とか議席を守らせてほしい」と訴えた。福島は公示直前に共産党が候補者を取り下げ、自民と立民が激突する構図。首相はこの日、チャーター機で移動し、同じく1人区の石川、沖縄両県でもマイクを握った。

一方、立民の野田佳彦代表は前日に続き九州の1人区を行脚した。熊本市で「九州で自民を次々と倒すドミノが始まれば、全国を席巻していく」と力説した。

今回争う125議席の約4分の1に当たる1人区を与野党が重視するのは、参院選の大勢を決してきたからだ。2人以上が当選する複数区と異なり、1人区で敗れれば議席の積み上げはゼロとなる。

◇マドンナ旋風、政権交代

1人区で自民退潮の激震が走ったのが1989年。土井たか子委員長が率いる社会党に「マドンナ旋風」が吹き、自民は全26区のうち3勝と惨敗した。2007年の第1次安倍政権も大逆風に見舞われた。全29区のうち6勝にとどまり、参院で少数与党に転落。衆院と多数党が異なる「ねじれ国会」に苦しみ、09年衆院選で民主党に政権を明け渡した。

民主党政権だった10年は自民が21勝と雪辱を果たした。これをステップとし、12年に政権に返り咲いた安倍晋三首相は1人区で強さを見せた。自民は13年、全31区中29勝と圧倒。1人区が32に増えた16年、19年は野党候補者の一本化が進んだものの、それぞれ21勝、22勝と大きく勝ち越した。前回22年も自民が28議席を獲得した。

◇参政党も焦点

今回は参政党が全ての1人区に候補者を擁立したことの影響も焦点だ。参政は支持率を伸ばし、自民は保守票を奪われかねないと懸念する。野党側は、参政を除き候補者が一本化できた選挙区が全体の半数の16にとどまる。政権批判票が分散する可能性もある。



◇過去の主な1人区の結果









内閣





自民勝利



1人区の数 1989年

宇野







3勝









26 2001年

小泉





25勝









27



07年

安倍







6勝









29



10年









21勝









29



13年

安倍





29勝









31



16年

安倍





21勝









32



19年

安倍





22勝









32



22年

岸田





28勝









32 。

【時事通信社】 〔写真説明〕演説する石破茂首相=4日午後、那覇市 〔写真説明〕街頭演説する立憲民主党の野田佳彦代表=4日午後、熊本市

2025年07月05日 07時06分


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