【ニューヨーク時事】4日発効したトランプ米大統領肝煎りの大型減税法は、バイデン前政権が推進した脱炭素政策を大きく後退させる。電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの普及を促す優遇措置を撤廃する一方、石炭生産は奨励。日本企業の戦略にも影響しそうだ。
トランプ氏は4日、法案署名の式典で、石炭を「『クリーンで美しい石炭』と呼ばなければならない」と演説。風力発電は景観を壊し、鳥を殺すだけで機能しないと語った。
前政権は史上最大の気候変動対策をうたったインフレ抑制法に基づき、要件を満たすEV購入者に最大7500ドル(約108万円)の税額控除を適用。再エネ発電や水素製造など、脱炭素の取り組みに税制優遇措置を設けた。
これに対し大型減税法は、EV購入促進策を今年9月末で終了。米新車販売に占めるEVの割合は2021年の約3%から24年に約8%まで伸びたが、財政支援がなければ「普及ペースが落ちる」(アナリスト)と予想されている。
また、太陽光・風力発電の設備整備への税額控除を原則27年末までに稼働するものに限定。水素に関しては、日本のエネルギー業界では「支援が続くだろう」との期待が強かったが、これも27年末に打ち切られる。
他方、原子力・水力・地熱発電、蓄電池や二酸化炭素(CO2)地下貯留の計画については、30年代にかけて税額控除を維持。製鉄に使われる原料炭の生産を新たに税優遇の対象にし、化石燃料重視の姿勢を打ち出した。
【時事通信社】
2025年07月05日 20時33分
economy