停滞する貿易交渉、進展は=融和演出、火種なお―米中



【ワシントン時事】米中の貿易交渉は、依然として停滞感がある。10月末の首脳会談では、合成麻薬「フェンタニル」関連の関税引き下げで合意したものの、レアアース(希土類)など他の主要分野では1年間の「休戦」での一致にとどまった。融和姿勢を演出する両国の交渉は世界経済に大きな影響を与えるだけに、2026年の協議の行方に注目が集まる。

両国は5月、互いに100%超の関税を引き下げることで合意した。だが、米国の中国からの輸入はその後も低迷を続けている。

したたかに弱みを突く中国は、米与党共和党支持層の多い農家を標的にする狙いで、米国産大豆の購入を絞った。米国にとって最大の「アキレス腱(けん)」のレアアースも、5度にわたる25年の閣僚貿易協議で輸出規制がたびたび主要議題となった。

首脳会談での合意により、中国は米産大豆の輸入を再開。レアアースの輸出規制強化も1年間の延期で折り合った。米政権はフェンタニル関税も10%引き下げ、その後も米半導体大手エヌビディア製の先端人工知能(AI)半導体「H200」の対中輸出許可を表明。中国への半導体関税の導入を27年6月まで見送るなど融和姿勢を強めている。

26年4月にはトランプ大統領の訪中を控え、その後は中国の習近平国家主席が国賓として訪米する見通しだ。貿易協議での関係悪化を懸念するベセント財務長官が政権内で穏健姿勢を強調していると目されるが、中国が今後も合意を確実に履行するかは読めず、火種はくすぶる。

グリア米通商代表部(USTR)代表は今後の米中関係について「着地点はバランスの取れた貿易の実現だ」と強調。そのためには「互いに何を買いたいかを率直に話し合い、きちんと管理していく必要がある」と見通す。ただ、「細切れの合意」(元米政府高官)を続けてきた両国の協議に進展が見られるかは未知数だ。

〔写真説明〕会談するトランプ米大統領(右端)と中国の習近平国家主席(左端)=10月30日、韓国・釜山(AFP時事)

2025年12月31日 07時16分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース