
東京電力ホールディングス(HD)にとって、21日の柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働は悲願だった。首都圏への電力供給能力の強化だけではなく、2011年の福島第1原発事故の廃炉費用負担などで厳しい経営状況が続く同社の、収益改善の柱としても期待されてきたからだ。ただ、その効果は巨額に上る賠償に比べるとはるかに小さく、収益改善の道のりは遠い。
「再稼働はゴールではない。スタートラインだ」。東電HDの小早川智明社長は今月、社員に向けた年頭あいさつで強調した。同原発は、東日本大震災翌日に4基で首都圏の電力需要の約17%を賄った実績がある。首都直下地震の発生などで東京湾周辺の火力発電所が停止した場合には、安定供給源として期待される。
東電HDは、収益改善により福島第1原発の廃炉や被災者への賠償費用の捻出も目指している。原発1基が稼働すれば、火力発電所の燃料費削減により、年間で約1000億円の収支が改善すると見込む。
しかし、廃炉や賠償などの費用は総額23兆4000億円と巨額で、事故関連費用は今後も膨らむ可能性もある。同社の負担分は16兆円を超え、賠償や廃炉に年間約5000億円程度の資金が必要だ。さらに、4兆円の費用が見込まれる除染のため、年間4500億円規模の利益の創出も求められている。
また、データセンターの建設増による電力需要の拡大などから、送配電網などの設備投資額もかさんでおり、24年度の同社の投資額は震災以降で最大規模となった。さらなる設備投資資金の確保も迫られる中、柏崎刈羽原発1基の再稼働のみでは、経営の安定化には程遠い。
〔写真説明〕東京電力柏崎刈羽原発6号機=2025年12月、新潟県
2026年01月21日 20時32分