
トランプ氏が米大統領に返り咲いて20日で1年。トランプ氏は第1次政権発足前に日本批判を繰り返した過去があり、日本政府はこの間、同盟関係の安定化に腐心してきた。関税交渉は石破政権時代に何とか決着をみたものの、トランプ氏は今度は中国への融和姿勢をちらつかせており、高市早苗首相はつなぎ留めに全力を挙げる構えだ。
「日米同盟の新たな歴史を切り開く1年とする」。高市首相は2日、新年早々にトランプ氏と電話で会談した後、記者団にこう宣言した。
もっとも、首相のアピールと裏腹に、日本政府はこの1年、トランプ氏に翻弄(ほんろう)されてきたのが実態だ。トランプ氏は昨年4月、日本に24%の「相互関税」を課すと発表。当時の石破茂首相は日本経済への打撃を最小限にとどめるため、トランプ氏との「ディール(取引)」を目指した。
交渉は7月、日本が5500億ドル(約86兆円)の対米投融資を約束する見返りに、米国が相互関税を15%に引き下げることで決着。日本政府関係者はひとまず胸をなで下ろした。ただ、対米投融資を具体化する交渉の本格化はこれからで、火種が完全になくなったわけではない。
高市首相は10月の就任後間もなくトランプ氏を日本に迎え、大統領専用ヘリコプターに同乗するなど、トランプ氏との距離を急速に縮めた。しかし、台湾有事に関する首相の国会答弁を受けて日中関係が冷え込んだのをきっかけに、トランプ氏との足並みの乱れが浮き彫りになりつつある。
日本政府が神経をとがらせるのは、中国が「軍国主義復活」と対日非難を強める中、トランプ氏がいずれにも肩入れしない姿勢を見せていることだ。今年4月に訪中を予定するトランプ氏は習近平国家主席とディールにこぎ着けるため、中国に融和的な姿勢に傾いているとの見方が出ている。
トランプ氏が「ドンロー主義」を宣言し、南北米大陸を中心とする「西半球」重視の姿勢を打ち出したのも気がかりだ。実際、トランプ氏はベネズエラを攻撃するなど同主義の具体化に乗り出しており、「東半球」にあるアジアへの関与が相対的に薄まりかねないとの懸念も出ている。
高市首相は2月8日投開票の衆院選に勝利できれば、3月にも訪米し、トランプ氏と対中戦略を擦り合わせたい考え。外務省幹部は「同盟・同志国との連携が米国の国益だと粘り強く説いていく」と語る。ただ、昨年公表された米国家安全保障戦略は日本への防衛費増額要求を明記しており、訪米を機に新たな火種を抱え込むリスクも否定できない。
【時事通信社】
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=19日午前、東京・永田町
2026年01月20日 07時05分