日米両政府が「大きな隔たり」(赤沢亮正経済産業相)を乗り越え、5500億ドル(約84兆円)の対米投融資の第1弾で合意した。規模は3事業計約360億ドル(約5兆5000億円)で、全体額の1割弱に相当する案件が決まり、本格的に始動する。中国による重要鉱物の輸出制限など、高まる経済安全保障上のリスクが日米協力深化の背中を押した。
「絆を強化していく上で、良かったのではないか」。赤沢氏は18日、記者団にこう語った。関係者によると、13日(現地時間12日)に米国で行ったラトニック商務長官との閣僚協議は金利などの点で折り合わなかったが、その後の微調整で相違点が解消され、発表に至ったという。
第1弾の発表は3月の高市早苗首相訪米時との見方もあったが、交渉関係者は「経済安保リスクを考えると、早期にまとめたかった」と語る。
その象徴と言えるのが、自動車や半導体の加工に使われる人工ダイヤモンドの製造事業だ。中国がシェアを握っており、日本は「特定国に100%依存している」(赤沢氏)のが実情。首相の台湾有事発言を機に中国が重要物資の輸出管理強化を打ち出す中、調達の多角化が急務で、米国も対中依存度について同じ問題意識があった。
米政権には内政面での焦りもあった。相互関税の合法性を巡る連邦最高裁判決は20日以降に出る見通し。中間選挙が11月に迫っており、違法判断が出れば求心力をさらに失いかねない。それだけにトランプ大統領は、SNSで「プロジェクトは非常に大規模で、関税無しには実現できない」と成果を誇示した。
第1弾の事業では、近く投資法人の設立などの手続きが始まる見通し。日米が足並みをそろえ事業を着実に進め、双方の経済安保の強化につなげられるかが焦点となる。
2026年02月19日 18時09分
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