
【ワシントン時事】トランプ米大統領が貿易相手国・地域に対する「相互関税」を公表してから2日で1年。世界に衝撃を与えた関税措置は、司法の壁が阻み、効力を失った。巨額の還付が順調に進むかが焦点となっている。
昨年4月2日、トランプ氏はホワイトハウスで、各国・地域に対する関税率を示したパネルを掲げ、相互関税を打ち出した。「米国解放の日」と銘打ち、米国経済の復活をアピールした。
同5日に一律分の10%を賦課し、9日には国・地域別の上乗せ分(日本は14%)を発動。上乗せ分は金融市場の動揺を受け、わずか半日で一時停止した。日本を含む各国はその後、高関税を回避するため、貿易交渉に追われた。
日本は赤沢亮正経済再生担当相(当時)が日米関税交渉を重ねた末、自動車関税を含め税率を15%とすることで合意。各国・地域に対する相互関税は10~41%となり、8月7日に発動した。
だが、連邦最高裁は今年2月、国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠とする相互関税を無効と判断。相互関税は発動から1年を待たずに停止した。
高関税のあおりを受け続ける企業にとって、既に徴収された関税の還付手続きの進捗(しんちょく)が大きな問題だ。日本企業を含め、判決後も提訴が相次いだ。
米国際貿易裁判所は3月、最高裁が判断を示さなかった還付を命令。税関・国境警備局(CBP)は返還の意向を示したが、膨大な処理に時間が必要だとして、4月中旬までに新たなシステムの構築を進めている。
CBPは3月31日、輸入企業が申告した約5300万件のうち、新システムの下で当初は約6割について対応すると表明。還付まで最大45日かかるとしているが、残る約4割については詳細を明らかにしていない。
相互関税を含め、IEEPAにより徴収された関税は約1660億ドル(約26兆円)。財政悪化が著しい米国で、関税収入は貴重な財源となっており、秋の中間選挙を控え巨額の返還は大きな打撃となる。
急転換を迫られた米政権は、通商法122条に基づく全世界一律の10%関税を導入。他の法律も用いて「元の税率に戻す」(ベセント財務長官)方針だ。トランプ氏は、向こう見ずな関税砲で世界を動揺させ続けている。
〔写真説明〕ホワイトハウスで国・地域別の相互関税率を示したパネルを掲げるトランプ米大統領=2025年4月2日(AFP時事)
2026年04月02日 12時45分