合成メタン普及へ、実証加速=脱炭素化のカギ、安定調達にも―大阪ガス



大阪ガスが、都市ガスの脱炭素化の切り札となる合成メタン「e―メタン」普及に向けた実証事業を加速している。世界最大級の製造施設が実証運転を開始したほか、米国からの調達の準備も進む。中東情勢の緊迫で、都市ガスの原料となる液化天然ガス(LNG)の供給リスクが浮き彫りとなる中、調達網の多様化にも期待される。

e―メタンは、二酸化炭素(CO2)と再生可能エネルギー由来の水素を原料に製造する合成メタン。大気中に放出されるCO2を回収して合成するため、燃焼しても大気中のCO2排出量は増加しない。

大阪ガスは、2030年度に都市ガス原料の1%をe―メタンなどとする方針。昨年の大阪・関西万博では、会場内で発生した生ごみを利用してe―メタンを製造し、迎賓館の厨房(ちゅうぼう)などで利用する実証実験を行った。

今年2月には世界最大級のe―メタン製造施設が実証運転を開始した。資源開発大手INPEXと共同で新潟県長岡市に建設し、年間の製造能力は一般家庭約1万世帯分のガス消費量に相当。天然ガスパイプラインへの注入を始めた。

海外調達にも動く。仏エネルギー大手トタルエナジーズ子会社が主導する米ネブラスカ州でのe―メタンの製造計画に、東邦ガスや伊藤忠商事とともに参画。30年度中の操業開始を目指し、製造容量は世界最大級の年間約7万5000トン。米国内の既設のパイプラインやLNG基地を活用し、日本に輸出するという。

e―メタンは天然ガスと主成分が同じため、導管やガス機器など既存設備をそのまま使用できる。ただ、現時点では製造コストが高く、量産化に向けた技術開発が課題だ。大阪ガスはe―メタン普及の先導役を担うため、「全ての技術開発力を集中させる」(藤原正隆社長)構えだ。

〔写真説明〕合成メタンなどの技術開発を担う大阪ガスの先端技術研究所の竣工(しゅんこう)式でテープカットする藤原正隆社長(中央)ら=2025年9月、大阪市此花区 〔写真説明〕INPEXと大阪ガスの合成メタン製造施設=新潟県長岡市(INPEX提供)

2026年05月07日 14時33分


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