米FRBの独立性「危機的状況」=利下げ圧力や捜査で―パウエル議長退任



【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は15日、2期8年の任期を終える。トランプ米政権の利下げ圧力に加え、FRB本部改修工事の議会証言に絡むパウエル氏への刑事捜査など、金融政策の独立性は「危機的状況」(同氏)に陥っている。司法省は捜査終結を発表したが、議長退任後も理事としてFRBに残り、状況を見届ける。

議会上院の承認を経て、ウォーシュ元理事が近く後任の新議長に就任する見通しだ。

パウエル氏は投資会社の共同経営者やFRB理事などを経て、2018年に議長に就任。官民で培った実務経験を生かし、FRB内の合意形成に尽力した。19年からは連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見を四半期ごとから年8回に拡充。毎回実施することで、市場との対話も重視した。

世界中で猛威を振るった新型コロナ危機は大規模な金融緩和で乗り切ったものの、続くサプライチェーン(供給網)混乱などに伴う物価高を「一時的」と捉えたことで、インフレ対応が遅れた。FRBが利上げを決めた22年3月時点のインフレ率は7.9%と、40年ぶりの高さを記録。その後も大幅な利上げを余儀なくされ、金融界からは「予測は100%間違っていた」(大手行首脳)との批判を招いた。

最近でも米イスラエルとイランの紛争による原油高など供給ショックが相次ぎ、足元のインフレ率は3%超。FRBが目標とする2%を上回っており、インフレ退治は道半ばに終わった。

第2次トランプ政権が発足した25年以降、FRBは利下げ圧力にさらされ続けた。トランプ大統領は、要求に応じないパウエル氏を「遅過ぎる」と非難するとともに、FRB本部改修費の膨張を問題視。パウエル氏は自身への刑事捜査に関し、利下げを迫る「口実」にすぎないと怒りをあらわにした。

FRB議長は退任に伴って理事も辞めるのが慣例だが、パウエル氏は捜査が透明性をもって終結するまでFRBに残留する。過去には1936~48年に議長を務めたマリナー・エクルズ氏が理事にとどまり、FRBの独立性確立に尽力した。

〔写真説明〕米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長=3月18日、ワシントン(AFP時事)

2026年05月12日 08時19分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース