重要鉱物、脱中国で複数枠組み=先進国、産業育成を加速



先進国が、ハイテク産業に欠かせない重要鉱物のサプライチェーン(供給網)の強化を急いでいる。政府の産業支援を背景とした過剰な生産・供給を通じて、中国が市場でのシェアを高めて覇権を築く中、米国と先進7カ国(G7)それぞれが主導し、中国への依存度を下げるための枠組みを練る。構想には違いもあるが、脱中国の産業・市場を育成して調達を多角化する目的は共通。日本も双方の議論に積極的に関与する考えだ。

重要鉱物を巡り、中国は1980年代に国策として産業育成に着手。政府支援による安値攻勢で米国の鉱山を閉鎖に追い込み、精錬技術の開発も進めて一強体制を作り出した。さらに政治・外交目的を達成する手段として重要鉱物の輸出管理を用いた。当初、標的は日本だったが、最近では欧米に拡大。外交筋は「経済的威圧は、日本だけの問題ではないとの認識が高まっている」と語る。

経済安全保障上のリスクに対処するため、トランプ米大統領は1月、有志国と重要鉱物の「貿易圏」を形成する構想を発表。米国は2国間で貿易協定を結び、参加国を増やすアプローチを進めており、日本や欧州連合(EU)、メキシコとそれぞれ行動計画を策定、具体的な協議に入った。

一方、G7は今年の議長国フランスが音頭を取り、財務相会合や貿易相会合などを通じ、6月の首脳会議に向けて多国間枠組みの設計を進める。

連携の在り方に加え、米国主導の枠組みでは重視する鉱物の種類の選定を進め、協調備蓄について検討する一方、G7では共同調達や市場分析などを念頭に置くなど構想に違いはある。ただ、いずれも中国の廉売を問題視し、公正な市場の形成を目指す点は同じ。最低取引価格や関税措置の導入も検討し、枠組み内の産業を育てる考えだ。

7日にはオンラインでG7重要鉱物閣僚会合が初めて開催された。出席した赤沢亮正経済産業相は記者団に「各国で備蓄制度を設立するに当たり、わが国の制度や経験を積極的に共有する旨を説明した」と語った。米国とも率先して協議を進め、有志国拡大に貢献する構えだ。

2026年05月12日 12時37分

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