
富士通は、企業や官公庁の基幹業務を担ってきた大型汎用(はんよう)コンピューター「メインフレーム」のシステムをクラウドなどに移行する支援事業を強化する。古いシステムに精通した熟練技術者を「マイスター」と位置付け、定年後の待遇を向上。人工知能(AI)も活用し、他社製を含めた旧システムの「近代化」を後押しする。
メインフレームは高度経済成長期に多くの大企業が採用した。しかし、コンピューターの小型化やシステムのクラウド化などが進む中、メーカーが相次ぎ撤退。富士通も2030年度末に販売を終了する。
古いシステムの移行には、プログラムの処理方法の見直しなどに通じ、メインフレームに詳しい人材が不可欠。その多くは60歳の定年が近づいたエンジニアだ。富士通はこうした技術者を「モダナイゼーションマイスター」と認定し、定年後も現役時代と同じ待遇で働ける仕組みを24年度に導入した。現在は70歳までの80人がマイスターとして活躍している。
今年度からはマイスターらの知見を引き継ぐため、AIによる学習も開始した。他社製のメインフレームの仕様もAIで可視化できるようになってきているといい、マイスターとAIの両輪でシステム移行事業の拡大につなげる。
中村記章・富士通モダナイゼーションマイスター室長は、「メインフレームには昭和の企業戦士たちが築き上げた知見や企業文化が凝縮されている」と指摘する。マイスター制度は、若手時代に手掛けたシステムと昭和の財産を「自分たちの手で次のステージに移行できる」として、ベテランの意欲を高める効果もあると説明した。
〔写真説明〕会議する富士通の熟練技術者「モダナイゼーションマイスター」=2025年1月、川崎市(富士通提供)
〔写真説明〕富士通が販売してきた大型汎用(はんよう)コンピューター「メインフレーム」(富士通提供)
〔写真説明〕インタビューに答える中村記章・富士通モダナイゼーションマイスター室長=4月6日、川崎市
2026年06月10日 07時10分