今月下旬、上場企業の定時株主総会が今年も相次いで開催される。「物言う株主」と呼ばれる機関投資家による株主提案は、過去最多。取締役の選任・解任要求も目立ち、その影響力は年々強まっている。
三菱UFJ信託銀行によると、機関投資家は6月5日時点で国内51社に139議案を提出。議案数は昨年の137を上回った。このうち、取締役ら役員の人事案は14件から19件に増えた。下田紘郎上級調査役は「非公開化の可能性がありそうな会社に社外取締役の選任を提案する傾向がある」と指摘する。
企業トップの取締役解任を求める提案も目立つ。香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントは、業績悪化を招いたとの理由で京セラの山口悟郎会長の解任を要求。英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)もロート製薬に対し、創業家出身の山田邦雄会長の解任を求めている。
運用資産が111兆円を超える野村アセットマネジメントは2020年以降、株主提案に賛成した比率が10~15%程度で推移している。内田陽祐責任投資調査部長は株主提案について、「中長期の視点で事業構造の変革やガバナンス(企業統治)強化など賛成を得やすい内容も見られるようになった」と分析する。
野村アセットは昨年、フジ・メディア・ホールディングスに役員の選任を求めた株主提案の一部に賛成した。その理由について、内田氏は「不祥事や経営不振の会社に社外取締役の選任案が提出された場合、賛成することもある」と説明した。
長年、企業と投資家の対話支援に携わっているSMBC日興証券の担当部責任者は「不祥事、ガバナンス上のトラブルが生じたケースは、会社側の役員選任議案に対する賛成率が低下する傾向がある」と指摘。今後も物言う株主が提案権の行使を通じ、影響力を強める流れが続くとの見方を示した。
【時事通信社】
2026年06月08日 07時21分
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