
―当時の経済情勢は。
物価は上がらず、ほぼゼロ成長に陥っていた。金融政策で対応しないといけない状況で、(資金供給)量の拡充などいくつかの方法がある中からマイナス金利が選ばれた。
―効果はあると考えていたか。
ゼロ金利で不十分だったら、マイナスにすればいいと思っていた。欧州ではある程度の効果があり、金融市場も混乱していなかった。日本が初めて導入するわけではなく、欧州連合(EU)という大きな経済で実際に行われていたため、うまくいくと考えていた。
―8年続くと思ったか。
想定していなかった。この政策を継続すれば景気が上向き、物価が上昇して金利を上げることになると思っていた。1、2年でいいのではないかと思っていたが、なかなかそうはならなかった。2019年に消費税率が引き上げられ、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻もあって、外部環境が良くなかった。
―副作用をどうみていたか。
市場機能が低下すると言われていたが、市場機能とは何なのか意味が不明だった。ただその後、短期金利にとどまらず、長期金利も大きく下がった。投資家が少しでも金利を得ようとして長期国債を買ったためで、あれほど下がるのは予想外だった。生命保険会社などが運用で困り、後で長短金利操作を行うことになった。また、マイナス金利には社会的な受容性がなかった。世間の人は金利がマイナスになることにショックを受け、銀行も日銀を声高に批判するようになった。
〔写真説明〕2016年上半期に日銀審議委員を務めていた名古屋商科大学ビジネススクールの原田泰教授(本人提供)
2026年07月16日 07時05分