視察結果、科学的に説明=韓国原発視察団が帰国



【仁川(韓国)時事】東京電力福島第1原発の処理水海洋放出の計画を巡り、訪日していた韓国政府の専門家視察団が26日、日本での日程を終えて帰国した。団長の劉国熙・原子力安全委員長は視察結果に関し、国民に向けて「技術的、科学的」に詳細な説明をするよう努めていると表明。政治的、情緒的な観点を排除し、客観性を重んじる意向を示した。

劉氏は仁川空港で記者団に対し、今回の視察は、海洋放出計画が発表された2021年8月から進めてきた分析の一環だとし、これで「終わりではない」と強調。日本側に要請した追加資料の分析などを経て、「最終的に総合的な評価を出し、(結果を)公開する」と説明した。

視察団は21日から訪日。23、24両日には現地を訪れ、放出関連設備などを確認した。韓国政府は、視察団派遣を通じ、安全性に対する国民の強い懸念を払拭(ふっしょく)したいと考えている。

ただ、韓国側による試料採取が認められなかったことなどから、視察の実効性を疑問視する声も出ている。「韓国リサーチ」など世論調査会社4社が共同で行った調査結果によれば、安全性を検証するのに視察団派遣が「役に立たない」とする回答は53%に上った。

最大野党「共に民主党」は26日、処理水の海洋放出反対を求める署名活動を開始。ソウル市内で行われた結団式で同党の李在明代表は、「国民の食卓が脅かされ、韓国の海が汚染されるのが明らかなのに、なぜ反対すると言えないのか」と政権を批判した。

〔写真説明〕26日、ソウル近郊の仁川空港で、記者団の取材に応じる韓国視察団団長の劉国熙・原子力安全委員長 〔写真説明〕東京電力福島第1原発を視察する韓国の視察団=24日(東京電力提供) 〔写真説明〕26日、ソウルで、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出反対を求める署名活動の結団式に参加する韓国「共に民主党」の李在明代表(前列左から4人目)

2023年05月26日 18時43分


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