
宗教団体「エホバの証人」を巡っては、信者による子どもへのむち打ちや輸血拒否などの事例が報告されている。一方、教団の信仰に絡むトラブルから起こされた過去の訴訟では、信仰を尊重する最高裁の判例も出ている。
「エホバの証人問題支援弁護団」が2023年に公表した「宗教2世」の元信者らを対象とした調査によると、18歳未満で教団に関わり始めたと答えた560人のうち、むち打ちの被害経験があるとした人は92%に上った。輸血拒否の意思表示カードを所持していたと回答した人は81%。弁護団は調査報告書で「児童虐待は現在も行われている可能性が高い」とした。
こども家庭庁の実態調査では、22年4月~23年9月に全国の児童相談所が把握した信仰などが理由とみられる虐待事例は47件。うち19件で一時保護していた。
一方、東京大医科学研究所付属病院で1992年、教団信者が手術の際に無断で輸血された事例では、信者が精神的苦痛を受けたとして、国や担当医らを相手取り損害賠償訴訟を提起。2000年の上告審判決で、最高裁は「宗教上の信念から輸血を伴う医療行為を拒否した場合、人格権として尊重される」とする判断を示した。
学校教育と信教の自由が争点となった裁判も。高等専門学校で信仰を理由に剣道の実技を拒否したため退学となった信者が校長に処分取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁は96年、剣道の拒否について「信仰の核心部分と密接に関連する真摯(しんし)なもの」と認め、「代替措置を検討せずに処分をしたのは違法」として取り消した。
〔写真説明〕宗教団体「エホバの証人」の日本支部=9日午後、神奈川県海老名市
2026年04月12日 07時06分