
大型連休が終わり仕事が本格化する中、「五月病」を訴える社会人は後を絶たない。頭痛や倦怠(けんたい)感など心身の不調が表れ、適応障害になる恐れもあるとされる。環境の変化が大きい若年層に多く、退職代行サービスの利用を考える人がいる一方、対策を講じる企業もある。専門家は「一定の生活リズムを意識して」と訴える。
就職情報会社マイナビ(東京)が正社員約2万人に行った3月の調査では、約5人に1人が五月病を経験したとの結果が出た。20代から30代で経験する傾向が強いことが分かったという。
調査を担当したマイナビキャリアリサーチLab研究員の朝比奈あかりさん(35)は「若い世代は就労や異動など環境の変化が大きい時期で、年々業務量や責任も増える。連休明けに疲れが出やすい」と指摘。生活リズムが乱れ、仕事が憂鬱(ゆううつ)になったという声も多かった。
こうした中、退職代行サービスの需要が増えている。労働問題に詳しい島田さくら弁護士(40)は「連休中に家族や友人との会話が増え、自身の労働環境を客観視して退職代行への相談に至るのでは」と分析。サービスへの相談は連休後に増加傾向にあり、新入社員も含まれるという。
島田弁護士は「追い詰められると『働くか死ぬか』という極端な思考に陥りやすい。状況に合わせ、退職という選択肢の早めの確保が重要ではないか」と指摘している。
対策を取る企業もある。食品メーカーのニチレイ(東京)は、新入社員向けの保健師面談を大型連休前から実施している。同社ウェルビーイング経営推進室の酒井麻路室長(57)は「身近な相談相手として定着しつつある。若者らの悩み解消にもつながっているのでは」と手応えを感じる。
予防には何が効果的なのか。健康科学アドバイザーの福田千晶さん(64)は「5月は連休の長さに加え、日照時間の伸長や激しい寒暖差の影響で生活リズムが乱れやすい。最適な食事・睡眠時間を把握し、習慣付けることが第一歩だ」と話す。心の不調に陥る恐れもあるとし、「SNSから距離を置き、他人の生活の充実にとらわれないようにすることも必要。自分に合った方法でリフレッシュを」と呼び掛けている。
〔写真説明〕職場で悩む会社員(写真はイメージ)
2026年05月12日 14時50分