
脳梗塞で失われた機能がリハビリで部分的に回復する期間が2カ月程度で終わってしまう原因のたんぱく質を発見し、このたんぱく質をできなくする薬剤候補を開発したと、東京科学大難治疾患研究所の七田崇教授らが13日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。マウスへの投与実験で回復を持続させる効果があり、ヒトで実用化を目指す。
七田教授は、この薬剤候補はヒトに合わせて作り直し、毒性が出ないようにした上で効果を高める改良が必要だと説明。「今後10年、20年かけて患者に薬として届くようにする努力を続けたい」と話している。
脳梗塞で血管が詰まり、神経細胞の一部が死滅して手足が動かなくなったり、話せなくなったりしても、2カ月程度はリハビリである程度回復する。これは生き残った神経細胞がネットワークを修復するためで、脳の免疫を担う細胞「ミクログリア」が「IGF1」と呼ばれるたんぱく質などを分泌して修復を助ける。
七田教授や津山淳講師らはマウスの遺伝子操作実験で、脳梗塞から一定期間が経過するとIGF1が作られなくなり、その原因は「ZFP384」という別のたんぱく質だと発見。脳梗塞後に死亡した患者の脳でも同様と確認した。
そこで、ZFP384をできなくする薬剤候補を開発してマウスに投与すると、ミクログリアからIGF1が分泌され続け、脳機能の回復を持続させる効果があった。
この薬剤候補はZFP384を作る遺伝子から生じたメッセンジャーRNAに結合し、分解に導く「アンチセンス核酸(ASO)」と呼ばれるタイプ。ASOは神経難病で実用化され始めている。
〔写真説明〕脳梗塞後の回復を持続させる薬剤候補をマウスで開発したと記者会見する東京科学大の七田崇教授(左)と津山淳講師=13日、東京都文京区の東京科学大
〔写真説明〕脳梗塞後の回復を持続させる薬剤候補をマウスで開発したと記者会見で説明する東京科学大の津山淳講師=13日、東京都文京区の東京科学大
2026年05月14日 00時12分