矛盾証拠巡り国に賠償命令=無罪確定の男性勝訴―名古屋地裁



詐欺罪に問われ、公判で検察官が有罪立証に不利となる証拠を故意に隠したため一審で有罪判決を受けたとして、その後に無罪が確定した名古屋市の男性(63)が国に約550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、名古屋地裁であった。笹本哲朗裁判長は、検察官が矛盾する証拠を認識していながら起訴内容を維持したのは「行き過ぎで合理性を肯定できない」として、国に110万円の賠償を命じた。

判決によると、男性は2019年、偽造した債権資料を提示し、融資として3000万円をだまし取ったとして詐欺罪で起訴された。21年に一審名古屋地裁で有罪とされたが、二審名古屋高裁で審理が差し戻され、23年10月に同地裁で無罪が確定した。

男性は、検察官が関係者のLINE履歴を故意に開示しなかったため有罪になったと主張。国側は隠そうとしたわけではないなどと反論していた。

笹本裁判長は、「LINE履歴の内容は複雑ではなく、起訴内容と矛盾が生じていることは容易に認識できたはずだ」と指摘。訴因変更などの対応を取るべきなのに、起訴内容を維持したまま論告したことは違法だと結論付けた。

男性は判決後に記者会見し「引き返して方針を変えることは可能だった。描いたストーリー通りに公判を進める姿は非常に腹立たしい」と話した。

野村安秀名古屋地検次席検事の話

判決内容を精査中で、今後の対応は関係機関と協議するなどして検討したい。

2026年05月29日 19時33分

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