
匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)による事件の被害防止に向け、メンバーの通信端末に遠隔でアクセスして内容を把握する新たな捜査手法を検討する警察庁の有識者会議の初会合が10日、開かれた。法的な課題や制度設計について議論し、提言としてまとめる。
会議で警察庁の森元良幸官房長は「トクリュウによる犯罪情勢はまさに異常事態だ。秘匿性の高い通信アプリを悪用して組織や犯行手口を潜在化しており、匿名性の壁を突き破れるかがカギを握る」と述べ、新たな法制度の導入を見据えた検討を求めた。
トクリュウが使う通信アプリには暗号化などの機能があり、逮捕した実行役らの押収端末を解析する従来のやり方では、得られる情報に限界があった。今回検討するのは、指示役や中核的人物を対象に、端末が手元になくても遠隔操作で情報を入手し、分析する手法。次の犯行計画や組織像を割り出し、被害を未然に防ぐのが目的だ。
海外では捜査目的で端末にマルウエア(悪意のあるプログラム)を仕込んだり、侵入してデータを盗み見たりすることが認められる国もある。ただ、日本では不正アクセス防止法や刑法のウイルス作成罪に触れる恐れがあるほか、憲法が保障する「通信の秘密」との整合性も問われる。
会議ではこうした課題を踏まえ、憲法やサイバーに詳しい弁護士や大学教授らで法整備の在り方を議論。裁判所の令状を求めるなど適正な運用の確保や、対象とする事件や人物の範囲についても話し合う。
〔写真説明〕匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)に対する新たな捜査手法を検討する警察庁の有識者会議の初会合で、あいさつする同庁の森元良幸官房長(奥中央)=10日午後、東京都千代田区
2026年08月10日 20時34分