手術中の激震、過酷な救命活動=八代市の熊本総合病院「できること最大限やった」―熊本地震



熊本地震で甚大な被害を受けた熊本総合病院(熊本県八代市)の島田信也病院長(71)が12日までに時事通信の取材に応じ、地震直後の過酷な状況を明らかにした。手術室を襲った激震、次々に運ばれてくる重傷者…。医師や職員らは余震や停電などさまざまな困難に直面しながらも、夜を徹して救護に奔走し、多くの患者を救った。

7月28日午後4時27分。激震が襲った瞬間、同病院では4件の手術が行われていた。手術室のカメラには、激しい揺れで医療機器が倒れ散乱する中、腹部の手術中だった患者の体に医師が覆いかぶさり、守る姿が映っていた。

他の病院職員は揺れのため立っていられず、室内を転がるようにして医療機器を支え、避難経路を確保。手術室には職員が次々と駆け付け、最終的には10人ほどが協力してこの患者を守った。手術中だった4人全員が無事だったといい、島田病院長は「奇跡的だ。職員は的確に対応してくれた」とたたえる。

一方、救急外来には地震直後から、けが人が続々と搬送されてきた。日本製紙八代工場(同市)から血まみれの状態で運び込まれた人、建物の倒壊に巻き込まれ、頭部出血などの重傷を負った人…。停電で真っ暗になった院内を、医師や看護師らは手探りで駆け回り、応急処置や患者の優先順位を決める「トリアージ」を行っていった。

翌日までに運び込まれた負傷者は約350人に上った。島田病院長は夜通し現場に立ち、職員を指揮。「2日間、職員はほぼ不眠不休で対応した。過酷な状況だったが、各自が進んで、できることを最大限やってくれた」と感謝する。

病院は多数の設備が地震で損傷し、断水にも見舞われた。それでも、職員らは非常電源や井戸水を活用するなどして、発生8日後には通常診療の再開にこぎ着けた。島田病院長は「何もかもがめちゃくちゃになってしまったが、病院は通常通り動いている。そのことが、傷ついた市民の心の光明になってほしい」と願った。

〔写真説明〕地震発生時の手術室の動画を見ながら、インタビューに答える熊本総合病院の島田信也病院長=10日、熊本県八代市 〔写真説明〕インタビューに答える熊本総合病院の島田信也病院長=10日、熊本県八代市

2026年08月13日 07時09分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース