中島が日本勢34年ぶりに、男子400メートル決勝の舞台に進んだ。1991年世界選手権東京大会で日本人で初めて決勝に進出し、7位入賞を果たした高野進さん(64)は「彼の才能が本当に花開いたなと感じる。持っている力をフィニッシュで全部出し切れる自分のペースをつかんだと思う」とたたえた。
新旧の違いこそあれ、91年当時も今大会も会場は同じ国立競技場。東京で34年ぶりの世界選手権に「感慨深いものがある。決勝は満員で、今まで見たことがない光景だった」と当時を回想する。今大会は連日、大観衆が詰め掛け盛況で、「陸上が一般の方にも楽しんでもらえるスポーツになった気がする」としみじみ語った。
2023年世界選手権で佐藤拳太郎(富士通)が44秒77をマークし、高野さんの日本記録を32年ぶりに0秒01更新。中島は今大会の予選で、44秒44と大幅に塗り替えた。予選敗退の佐藤風雅(ミズノ)も44秒88の記録を持ち、日本の選手層は近年になって厚みを増してきた。
高野さんは科学的な知見を取り入れたトレーニングや疾走技術の進歩を要因に挙げ、「100メートルの9秒台も同じで、佐藤拳太郎選手が破ったことで自分たちも破れるんだという流れができた」とみる。大会終盤に行われる1600メートルリレーにも期待を込め、「第1走者が流れをつくれれば、メダルもいけるのでは」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕写真撮影に応じる高野進さん=5月29日、東京都世田谷区
〔写真説明〕陸上世界選手権東京大会、男子400メートル決勝で力走する現役時代の高野進さん(中央)=1991年8月、東京・国立競技場
2025年09月18日 18時02分