外務省は15日までに、世界貿易機関(WTO)などを専任する常駐代表(大使)を日本の在ジュネーブ代表部に初めて置くことを決めた。トランプ米政権の高関税政策で世界各国が打撃を受ける中、多角的貿易体制の中核となるWTOでの各国との連携や調整の重要性を再認識した措置とみられる。
初代代表として17日に着任する在インドネシア日本大使館の永井克郎次席公使はオンラインなどで時事通信の取材に対応。「多角的貿易体制をめぐる状況はさらにチャレンジングなものになっているが、成果を挙げられるよう取り組みたい」と話した。
これまでジュネーブ代表部では、特命全権大使がWTOや国連貿易開発会議(UNCTAD)、世界知的所有権機関(WIPO)など国際機関の常駐代表を全て務め、次席大使や経済公使がサポートする体制を取ってきた。しかし、トランプ関税など昨今の世界経済を取り巻く情勢を踏まえ、特命全権大使の兼務を解き、専任の常駐代表を置くことで同代表部の体制を強化した。
一方、WTOは近年、紛争解決機能が停止するなどの問題を抱えている。ジュネーブの国際機関代表部で経済公使を務めた経験がある永井氏は「外務省で自由貿易協定交渉に携わってきた経験も生かし、新たなルールづくりやWTOの機能改革などで貢献できれば」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕インドネシアのロロ商業副大臣(右)との会談後、記念写真に納まる在インドネシア日本大使館の永井克郎次席公使=8日、ジャカルタ(同日本大使館提供)
〔写真説明〕ジュネーブの世界貿易機関(WTO)本部=2024年4月、スイス(EPA時事)
2025年09月16日 08時01分