総務省消防庁は、南海トラフ地震などの発生時、被災地の状況を映像などで迅速に記録し集めるため、新たにヘリコプター1機を熊本県に配備する方針だ。同県に無償で提供する。同庁によるヘリの配備は全国で6機目となり、九州では初。実現すれば、同庁のヘリとして北海道、小笠原諸島、南西諸島などを除く国内をカバーできるようになる。
南海トラフ地震では、東海から九州の広い範囲で大きな被害が想定されている。九州のほぼ中央に位置する熊本県に配備することで、1時間以内に被災地に派遣できる体制を整えたい考えだ。2026年度予算概算要求に金額を示さない「事項要求」として盛り込んだ。26年度に購入し、29年度に運用を開始することを目指す。
同庁によると、人工衛星を通じた映像伝達が可能なシステムを搭載した場合、購入費用は一般的に30億~40億円程度になる。平時は同県が維持・管理し、大規模災害時には同庁が被災地への派遣を指示する。
情報収集ヘリは現在、宮城県、埼玉県、東京消防庁、京都市消防局、高知県の5団体に配置。出動から1時間以内に半径250キロ圏までカバーすることを想定している。
24年9月の能登半島豪雨や、25年2月からの岩手県大船渡市での大規模山林火災などで被災地に派遣された。土砂災害で道路が寸断されても現地に赴くことが可能で、総務省消防庁が被災地支援のため全国から部隊を集める「緊急消防援助隊」を出動するかどうかの判断にも役立っている。
【時事通信社】
〔写真説明〕総務省消防庁が災害時の情報収集に活用するヘリコプター(同庁提供)
2025年09月19日 07時07分