カギを握ると目された序盤の5日間。若隆景は3勝2敗というまずまずの結果にも、表情一つ変えなかった。過去4勝7敗と苦手にしていた阿炎を押し出し、「下からの意識だけだった」。大関昇進に向け、自分の相撲に対する信念にぶれはない。
先場所は注文相撲で不覚を取った相手に、迷うことなく鋭く立った。もろ手で来た相手が引いたところを逃さず、前に出て土俵外へ吹っ飛ばした。
初日は完敗したものの、勝った相撲はいずれも低い体勢で厳しく攻める持ち味を発揮。切れのある動きに、過度な重圧は感じられない。高田川審判部長(元関脇安芸乃島)は「強い意識で前に出ようとしている」と評価する。
三役在位12場所で、勝ち越しは8度。ただ、序盤で白星を先行させたのは、そのうち3場所しかなかった。得意の中盤戦以降へ、「集中して自分らしい相撲を取っていきたい」。上位陣との対戦も残っている。全く気は抜けないが、いつも通りに星を伸ばせれば、おのずと昇進の機運は高まってくる。
【時事通信社】
〔写真説明〕若隆景(右)は阿炎を押し出しで下す=18日、東京・両国国技館
2025年09月18日 20時45分