
2025年のスポーツ界は、米大リーグ、ドジャースの大谷翔平やサッカー日本代表の活躍、大相撲の新横綱誕生などの話題に彩られた。注目を集めた出来事の背景やその後に焦点を当てた。
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誰がこの結果を予想しただろうか。9月のバレーボール男子世界選手権で、日本が1次リーグで敗退した。初戦のトルコ、2戦目のカナダにまさかの連続ストレート負け。着実に力を付け、51年ぶりのメダル獲得の期待が高まっていたチームに何があったのか。
ティリ新監督の下で新体制が始動。だが石川(ペルージャ)ら昨夏のパリ五輪の主力は疲労を考慮され、7月になってからチームに合流した。そこで浮き彫りになった課題がセッターとの連係面だった。五輪で司令塔を務めた関田(サントリー)がけがで不在の中、永露(広島T)と大宅(日鉄堺)の2人が代表セッターに起用されたが、関田の穴を埋める働きはなかなかできなかった。不安が解消されないまま、本番を迎えた。
トルコ戦では、予想以上に相手のサーブとブロックに手を焼いた。何とか拾って攻撃に転じた機会はあったが、ティリ監督は「20%しか成功に結び付けられなかった」と明かす。敗戦から気持ちを切り替えられないまま臨んだカナダ戦も、第1、第2セットともミスが絡んで連続失点し、流れを手放した。指揮官は「われわれは負けることを恐れる気持ちが強かったかもしれない。勝つ意志が弱くなってしまっていた」と振り返る。
大会では五輪を連覇したフランスやブラジルなど強豪国が1次リーグで姿を消し、勢力図の変化を感じさせた。2028年ロサンゼルス五輪の出場権を懸けた戦いは来年から始まる。「来季はこのような結果を出すわけにはいかない」と危機感をにじませたのは石川。悔しさを糧に、復活につなげられるか正念場となる。
【時事通信社】
〔写真説明〕男子世界選手権1次リーグのトルコ戦でプレーする日本の高橋藍(右)=9月13日、マニラ(EPA時事)
〔写真説明〕男子世界選手権1次リーグのカナダ戦でプレーする日本の石川(左)。右は山本=9月15日、マニラ(EPA時事)
2025年12月09日 07時10分