
夢舞台が一気に近づいてきた。フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ上位6人で争うファイナルで女子の17歳、中井亜美(TOKIOインカラミ)が日本勢最上位の2位に入った。来年2月に行われるミラノ・コルティナ五輪の代表選考で優位に立った。
スケートを始めたのは5歳。元世界女王の浅田真央さんに憧れ、その代名詞だったトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も習得した。6日のフリー演技前に浅田さんが観戦していることを知って、「真央ちゃんが見ているから頑張る」。そうコーチに伝えてリンクへ飛び出した。練習で成功率が低かった大技を本番ではきれいに決めた。
好成績を出せた要因について、指導する中庭健介コーチは「ここいちの強さが出た」と話す。フリー序盤の3回転ルッツを連続ジャンプにできなかったが、後半の3回転フリップに3回転トーループを付けてリカバー。この組み合わせはほとんど練習したことがなく、コーチも「そこで思い切っていったところに鳥肌が立つというか、強さを感じた」と舌を巻いた。
シニアに上がって初めてのGPシリーズとなったフランス大会で優勝した。スコアは現時点で今季世界2位。一気に注目される存在となり、GPファイナル前に行われた拠点での公開練習には報道陣約60人が殺到した。立場が変わっても重圧に屈することはなかった。
今季が始まる頃には想像もしなかった光景が広がっている。五輪との距離について「正直、近づき過ぎなくらい近づいている。そのプレッシャーに負けないくらい、自分を強くしていきたい」。最終選考会の全日本選手権は、先輩たちに負けじと食らい付いていく。
【時事通信社】
〔写真説明〕フィギュアGPファイナル女子フリーで演技する中井亜美=6日、愛知・IGアリーナ
2025年12月10日 07時08分