
「ジャンボ」の愛称通り、恵まれた体格から豪快なショットを繰り出し、華やかさと勝負強さでファンを引きつけた。1970年代から80年代にかけて日本のゴルフ界を盛り上げた「AON」の中でも、尾崎将司さんの人気は群を抜いていた。
プロテスト合格翌年の71年に初勝利。ツアー制がスタートした73年から2年連続で賞金王となり、20代で早くもトップの座に上った。だが、ツアー94勝、賞金王12度の成績を残した尾崎さんの全盛期は40代だった。
80年代前半に低調な時期があったが、41歳だった88年に11年ぶりの賞金王に復帰。このシーズンには、3週連続優勝も記録した。中堅、若手の挑戦を力ではね返し、94年からは5年連続で賞金タイトルを獲得した。シニアツアー世代となる50歳を迎えてもトップ選手としての力は衰えず、98年の5連覇は51歳で果たした。40歳を過ぎて挙げた63勝は、現在では考えられない数字ではないか。
高校時代は野球で頂点に立ちながら、期待されて進んだプロでは成績を残せずに終わった。その悔しさを糧にゴルフに取り組み、第一人者に上り詰めた。派手で天才的なイメージが強いが、常に自宅の練習場で小技を磨くなど、実際は努力家だった。
心残りだったのは、青木功、後進の丸山茂樹両プロらと比べてメジャーなど海外での活躍が少なかったこと。63歳で世界ゴルフ殿堂入りしたが、「日本国内では貢献はしたと思うが、世界となると残念な結果しかない」と本人も認めていた。
とはいえ、記録、記憶共に残る大選手。8打差からの逆転優勝が4度あるなど、印象深いプレーは数多い。ツアー最年長記録として残る55歳で優勝した際には、「人びとに感動を与えるのが自分のゴルフ」と胸を張った。2人の弟らを従えた「ジャンボ軍団」の中心として若手に助言を送り、女子の笹生優花や西郷真央といった海外メジャー覇者も生んだ。存在感は抜群だった。
【時事通信社】
〔写真説明〕ツアー選手権ゴルフ第1日、18番でティーショットを放つ尾崎将司さん=2013年6月20日、茨城・宍戸ヒルズCC西
〔写真説明〕つるやオープン第1ラウンドで、66歳だった尾崎将司さんが62で回り、自身の年齢以下の打数で回るエージシュートを達成した。日本のレギュラーツアーでのエージシュート達成は初の快挙=2013年4月25日、兵庫・山の原GC山の原
2025年12月24日 11時11分