
10月14日は日本サッカー界にとって歴史的な日となった。日本代表が、ワールドカップ(W杯)優勝最多5度を誇るブラジルを3―2で撃破。親善試合とはいえ、ブラジルに勝つのは簡単ではない。14度目の挑戦で手にした「サッカー王国」からの初勝利だった。
前半は0―2。日本は構えて守る中、ブラジルの独創性のある浮き球のパスと典型的な3人目の動きで、まんまと崩された。森保監督は大敗も覚悟した一方で、「前回対戦した時よりも、相手が嫌がっている場面は多かった」。0―1で敗れた2022年6月と比べると手応えもあった。
指揮官は「あの時」と同じ決断を下す。ともに劣勢で前半を終えながら、ドイツとスペインを破ったW杯カタール大会と同様に、マンツーマン守備を指示。「負けたとしても、何が足りなかったのかが分かる」。チームの現在地を確認しつつ、将来の強化も見据えた選択が、三たび後半の逆転劇につながった。
ブラジル戦のハーフタイム。ロッカールームでは至る所で選手同士が意見を交わし、普段なら後半の戦いに向けて摂取するゼリー飲料が手付かずで残るほどの白熱ぶりだった。選手たちも戦い方次第で「勝てる」と肌で感じていた証しだろう。
堂安(アイントラハト・フランクフルト)が「殴り合い」と表現した1対1の勝負は、選手個々の能力が劣っていれば強い相手には通用しない。今回は堂々と迫り、ブラジルに「殴り勝つ」までになった日本。「まだダークホース」(森保監督)とはいえ、来年のW杯で世界を驚かすだけの力は十分に備わっている。
【時事通信社】
〔写真説明〕ブラジル戦の後半、勝ち越しゴールを決める日本の上田(左から2人目)=10月14日、東京・味の素スタジアム
2025年12月26日 07時13分