
日本発祥のスポーツとされるソフトテニスをカンボジアに広めた荻原雅斗さん(35)が、今秋開催の愛知・名古屋アジア大会を待ち望んでいる。2015年から同国代表ヘッドコーチ(HC)を務め、母国での大舞台が集大成となる。選手強化に励む日々を送り、「メダルを確実に取りたい」と意気込む。
東北高、中京大でソフトテニス選手として活躍し、日本一も経験。大学卒業に際し、「ゼロから力を試したい」と就職が決まっていた企業に断りを入れ、13年に日本企業の海外支社立ち上げのためカンボジアに渡ったのが始まりだった。企業支援などに関わりながら、農村部に手作りしたコートで子供たちにソフトテニスを教えた。
その頃、カンボジアではソフトテニスの認知度が低かった。国内にできたばかりの連盟の関係者の前で、この競技特有のカットサーブを披露した際、「お前しかいない」とHC就任を依頼された。
当初は競技者が5人しかいなかった現場で指導する傍ら、SNSで支援を呼び掛けてラケットなどの道具を日本から運んだ。競技を根付かせるために、体育の教科書にソフトテニスを記述してもらう活動もした。地道な取り組みが実ってチームは国際大会でメダルに届くまでに成長。国は屋根付きの専用ハードコートを4面整備した。「発展途上国の国民に与える勇気、影響の大きさをすごく感じた」と振り返る。
「懸け橋になれるのは僕しかいない」との思いで、日本とカンボジアを何度も往復したこの10年余り。アジア大会を区切りにHCを退き、後進に譲ることを決めている。大会を機に、「海外に興味を持ったり、挑戦することの面白さを感じたりする子が現れてくれれば」との期待も語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕ソフトテニスのカンボジア代表を指導する荻原雅斗ヘッドコーチ(HC)=4月27日、東京都中央区
〔写真説明〕ソフトテニスのカンボジア代表を指導する荻原雅斗ヘッドコーチ(HC)=4月27日、東京都中央区
2026年06月18日 14時57分