
誰かのために、行動する。それは、ピッチの外でも変わらない。サッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会で、決勝トーナメント進出を決めた日本代表。前田大然選手(28)は1次リーグ2試合に先発し、献身的な動きで貢献した。
最終戦のスウェーデン戦。持ち前のスピードを生かし、相手にプレッシャーをかけ続けた。後半11分、スルーパスに抜け出し、右足で決めた。日本代表のW杯での2大会連続ゴールは、本田圭佑、岡崎慎司に続く3人目。走って、点を取る。真骨頂だった。
大阪府太子町出身。5人きょうだいの2番目で、長男として育った。自然豊かな地元。ゲームやテレビにあまり関心がなく、遊びの一つは山登り。きょうだいで近くの山に登り、頂上でおにぎりやラーメンを食べた。「優しくて、面倒見が良かった」と母幸枝さん(58)。共働きの両親を助けるため、率先して夕食を作ることもあった。
幸枝さんは「家族思い」と息子を褒める。ポルトガル1部リーグのマリティモから期限付き移籍を終えた2020年。J1のセレッソ大阪と横浜F・マリノスからオファーがあった。本人は、家族のために地元でのプレーに気持ちが傾いていた。そんな中、幸枝さんは横浜F・マリノスを勧めた。「マリノスの試合を見て、攻撃的でいい。大然に合うと思った」。母の言葉で入団を決め、21年に得点王。飛躍のきっかけとなった。
今では、前田選手も3人の子を持つ父。幸枝さんとの話題も、子どものことが中心。「あれだけ練習をしても、家族のために掃除をしたり、お風呂に入れたり。家事をよくやってる」。息子の「父」の顔に感心する。
短い帰省期間。夜中に前田選手が家族の分の洗濯をしていたことがあった。幸枝さんは「私が寝ているときに、一人で干していた。すごいなと思った」。気配りはどんなときでも欠かさない。
「大然の周りにはいつもいっぱい人が集まる」と幸枝さん。優しさにあふれているからこそ、チームのために走れる。
【時事通信社】
〔写真説明〕スウェーデン戦の後半、先制ゴールを決め喜ぶ前田(右)=25日、米ダラス
〔写真説明〕家族で写真に納まる幼少期の前田大然選手(左から2人目)(母幸枝さん提供)
〔写真説明〕弟と写真に納まる幼少期の前田大然選手(母幸枝さん提供)
2026年06月29日 08時22分